『私のボクサー』

 

あらすじ

ビョングは将来のチャンピオンとして期待されるボクシングの才能の持ち主。練習に励んでいたが脳挫傷を患い、ボクサーとしての夢を断念することに。ジムの館長の計らいで雑用をこなして過ごすビョングは、ダイエットを目的に新規入会してきたミンジと出会う。天真爛漫なミンジに心を開いていくビョングは、韓国の伝統民族芸能パンソリとボクシングを融合させた“パンソリ・ボクサー”として再びボクシングの世界に復帰しようと…。(C) 2019 CJ CGV Co., Ltd., POLLUX BARUNSON INC PRODUCTION All Rights Reserved

 

映画紹介

https://movie.naver.com/movie/bi/mi/basic.naver?code=174797

 

韓国のタイトルは『판소리 복서(パンソリボクサー)』です。

韓国では2019年映画館で上映されましたが、『重量ガールズ』と同じく、2021年のお正月(旧暦)にTV放送になって、再び、反響を呼びました。

『パンソリ』とは

パンソリは一人の歌い手が鼓手(太鼓を打つ人)の拍子に合わせて、チャン(歌)、アニリ(台詞)、ノルムセ(身振り)を織り混ぜながら口演する一種のソロオペラである。 「パンソリ」とは、「パン(広場)」と「ソリ(歌)」の合成語である。

https://k-culture.jp/korea_culture_b02.php

 

観想

 そのⅠ

何より俳優さんの演技力が素晴らしいです。館長さんもそうですが、何より「ビョング役」のオム・テグさんの演技がとても素晴らしかったです。ボクサー時代の彼と今の彼のギャップ。同じ人物とは思えないそのギャップには本当に啞然としました。

アホみたいになっちゃった彼ですが..........心はまだ昔を覚えていて、やりたい意志も持っていて、何が正しいかも判断できる。衰えてゆくリングの上で、黄昏の部屋で、病院で…見せる彼の表情は演技と見えないほど自然で、純粋で、清らかで、淋しい…「ビョング」そのもの。

 その2

ジムの風景です。故障のテレビ、錆びだらけの洗濯機、偉大な過去の選手の名前が刻まれている大きな鏡、全盛期のビョングのポスター、ジムの全盛期を表す無数のメダルとトロフィー..........。すべてが過ぎた過去に囲まれているかのような空間。

今..........この空間に居るのは肥満気味の子供二人と未だに試合に出たことがないギョワン、ダイエットのつもりで三ヶ月コースに入ったミンジと往年のチャンピオンだったらしい館長、往年の実力者だったビョング、そのビョングが連れてきた捨て犬がすべて…。

どんなに落ちこぼれた人生のだといえ、希望は生まれる。その場所はココ..........リングの上である。

 その3

「パンソリ」と「ボクシング」のコラボ。

「パンチドランカー」という病で認知症が進み、どんどん記憶を失っていく彼ですが、チャングのリズムだけは未だに…忘れてない。そのチャングのリズムに合わせる彼の動きは全盛期の自分を示す名残のようで…悲しいが…美しい。

BGMで適材適所に出てくる「パンソリ」も新鮮で面白い。

パンチドランカー

パンチドランカーとは頭部への衝撃から生じる脳震盪を起因とする神経変性疾患及び認知症に似た症状を持つ進行性の脳障害疾患のこと。また、そのような状態にある人間を指す。ボクサーに多く見られる疾患であること、最初に見つかった発症者がボクサーだったことから、慢性ボクサー脳症、外傷性ボクサー脳症、拳闘家痴呆、慢性ボクシング外傷性脳損傷、パンチドランク症候群などの別称がある。最近の研究でボクサーだけでなくアメリカンフットボールやアイスホッケー、プロレスリングなど繰り返し頭部へ衝撃を受けることのあるコンタクトスポーツのアスリートにも発症することが分かり、慢性外傷性脳症と呼ばれるのが一般的になっている。

詳しく知りたい方は⇒慢性外傷性脳症 - Wikipedia

 

まとめ

どん底におかれたボクサーが一所懸命…努力して…最後には感動の勝利を手に入れるという感動ストーリーを期待してはいけない。

 

叶わない事を知りながら..........向かう試合。勝って、新しい幸せを手に取って欲しいと..........観る人は願うが、その結果は…。

 

「やりたい事を今やらなかったら…死ぬ時..........後悔するわよ」

せめて…彼の人生は後悔はない人生だったかもしれない。ミンジとの出会いがなかったら、その人生さえできなかっただろう彼にとっては…それもある意味の幸せな人生かもしれない。

 

『私のボクサー』予告編


www.youtube.com

 

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