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小さなキセキが芽吹く部屋で ―『子猫のキス』

あらすじ

妻を失い深い喪失感に苛まれた童話作家チョ・ヨンヒは、妻の想い出の部屋に入れないでいた。ある日その部屋に隠されていた子猫を通じて、父と娘の心が再びつながっていく。女性監督ファン・スビンが描く、喪失と再生のヒューマンドラマ。(C) 2022 MOTTO COMPANY ALL RIGHTS RESERVED

感想

彼女がすべてを失った日、彼と息子は、かけがえのない大切な人を失います。

本来、交わってはいけなかった二人。
けれど運命は、すでに彼らを同じ場所へ導いていました。

一度でいい。ただ一度でも、その父子が笑う姿を見たい。
そんな想いを胸に、ただひたむきだった彼女。

かつて「幸せで溢れていた部屋」だったが、今は固く閉ざされたその場所で、ごく小さなキセキが静かに起こり始めます。

拾ってきたサツマイモから芽が出て、やがて、どんどん大きく育っていく。

その成長とともに、登場人物たちの心にも少しずつ、あたたかさが戻っていく。

 

猫に向き合う責任。
猫の居場所。
猫の星。
猫の名前。
そして、猫のキス。

 

猫が主役の物語だと思っていました。
しかし実際には、猫によって傷つき、猫によって癒されていく人間たちの物語でした。

作中には二冊の絵本が登場します。
『ママの昼寝中に』と『子猫のキス』。
いつか同じタイトルで、自分なりの物語を書いてみたい、そう思わせてくれる作品でもありました。

「悲しい時には、泣いてもいい」
「始まりは偶然でも、行き先は選べる」

その言葉は、観終わったあとも、静かに、しかし確かに、心の奥に残り続けています。

自分を癒す音でもある、幸せの時、猫が鳴らすという音。そのゴロゴロ音を聞いてみたいです。

子猫のキス

子猫のキス

  • オ・ドクミン
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