
あらすじ
非正規採用である高校に赴任してきたソ・シミン。そこはハン・スガンという生徒の暴力に支配されていた。有力者の親に守られて教師も警察も手出しできないのをいいことに、スガンの傍若無人な振る舞いはエスカレートするばかり。正規雇用となることを切望するシミンは、トラブルを避け見て見ぬふりをしながら目立たず無難に過ごそうとする。だが、スガンのいじめのターゲットとなったジニョンの、祖母までもが脅されている切羽詰まった状況を目の当たりにして我慢も限界に。猫のマスクで正体を隠したシミンがスガンとその一味の前に立ちはだかった。そう、シミンは元ボクシングチャンピオンだったのだ。しかし、学園の支配者スガンが黙っているはずがなかった―。
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感想
韓国映画『勇敢な市民』を観て、胸がぎゅっと詰まる瞬間が何度もありました。映画は学校内の暴力や権力の不条理を映し出すだけでなく、勇気や希望を描いています。
劇中、道端でキムパを売っているおばあさんの孫がジンヨンだと判明した瞬間、彼らの新しいいじめのターゲットが決まります。
「おまえの言うとおりにする。すがん。言われたことは何でもするから、おばあさんには手を出さないでくれ。どうかお願いだ。」
しかし、映画のもう一つのメッセージは明快です。
「何もしなければ何も起こらない」
沈黙や無力のままでは、理不尽は消えない。だからこそ、仮面を被ったソ・シミン先生が立ち上がり、弱者を守る「善」として行動します。
さらに面白いのは、主人公の名前です。ソ・シミンは韓国語で「小市民」と同じ発音です。力も権力もない小さな存在――それでも彼女は堂々と悪なる権力に立ち向かい、ひざまずかせることができるのです。小市民としてのカタルシスがここにあり、観客としても胸がすっきりする瞬間です。
ジニョンや他の子どもたちは、ソ・シミン先生の勇気に支えられ、救われていきます。
「いくら考えても私は悪いことをしていないから聞いたんです。
なぜそんなことをするのかと聞いたら、 面白いからだと」
「ジニョン、あなたは何も悪くない。ジニョンはおばさんを今までちゃんと守ってきた。偉い。学院祭に来てね。」
ジニョンがイジメになる前、イジメのターゲットだった子も、今ではソ・シミン先生を「マイ・ヒーロー」と呼び、応援するようになります。そして映画は、こう締めくくられます。
「謝罪なんかいらない。お前はもう、みんなに負けたから。 地獄に行け」
観終わった後、心の中には清々しさが残ります。悪は因果応報のように自分の行いの結果に直面し、正義が示される。その爽快感は、現実にはなかなか味わえないものです。しかし、映画を通して「勇気ある行動の大切さ」を強く感じました。
ただ、現実では誰もがあそこまで無茶苦茶強くなければ、その「勇気ある行動」は簡単にはできないでしょう。それでも、この映画は「立ち上がることの意味」を考えさせてくれます。
ボクシングシーン

さらに印象的だったのは、ボクシングシーンです。俳優さんたちの演技が迫力だけでなく、心理や葛藤まで伝わる素晴らしいものでした。前にブログで書いた『雪の女王』でもボクシングシーンが印象的でしたが、この映画も心に残る演技でした。
映画を観ながら考えたことは多く、校内暴力は日本でも問題になっています。見て見ぬふりをすることも、傍観者のトラウマになるかもしれません。韓国では学校暴力に関わった人は警察や教育関係機関に報告され、大学に合格しても学校暴力に大きくかかわった経歴があると、その人は大学に入学できません。つまり大学進学にも影響します。日本でも、こうした仕組みがあれば、被害者を守る一歩になるのではと思います。
まとめ
「闇は光に勝てない」
『勇敢な市民』は、単なるアクション映画ではなく、現実を映し出しながらも希望と勇気を描く作品です。
観終わった後に、胸がぎゅっとなるけれど、未来への希望が確かに残る映画でした。
