あらすじ
20代後半のミリー(ダニエル・マクドナルド)は証券会社で働くキャリアウーマンでオペラが大好き。申し分ない給料をもらい、長く付き合うボーイフレンドもいる。一見すると満足な人生も、なんとなく続ける仕事になんとなく長く続いているボーイフレンド…コンサートに行くたび捨てきれずにいるオペラ歌手の夢と、現実との差にもやもやする日々だった。そんなある日、上司との衝突をきっかけにミリーは仕事を辞めることを決心。彼にも夢を追うことを告げ、これまで貯めた貯金を資金にオペラ歌手を目指す。プロへの登竜門のコンテスト<The Singerof Renown>優勝のために、かつて有名なオペラ歌手だったミーガン(ジョアンナ・ラムレイ)に頼み師事してもらうレッスンをするが、彼女にはすでにもう一人の弟子マックス(ヒュー・スキナー)がいた。
感想
色々応募しては、落選を繰り返してきた自分にとって、この映画の展開は決して他人事ではありませんでした。
観始めたとき、正直に言えば、ミリーが順調に評価されていく流れに、どこか距離を感じてしまったのも事実です。もしこのまま彼女だけが報われて終わるのだとしたら、長い時間をかけて努力を続けてきたマックスが、あまりにも報われないのではないか——そんな思いが、心のどこかにありました。
しかし物語の結末は、「努力は無意味ではない」という、静かな救いを含んだものでした。劇的な逆転ではなく、それぞれが自分の選択に向き合い、納得のいくかたちで前に進んでいく。その姿に、少しだけ心がほどけるような感覚を覚えました。
また印象的だったのは、ミリーの元の恋人の存在です。彼は一見、彼女を気遣い、支えようとする人物として描かれています。しかし、その行動の裏には、「成功しつつある彼女」に対する期待や安心感が透けて見えるようにも感じられました。もし彼女が評価されていなかったなら、同じように彼は彼女に会いに来ただろうか——そんな疑問が、自然と浮かびます。
それに対して、マックスの存在は対照的です。評価や結果とは別のところで、彼はミリーと向き合い続けている。そこにあるのは、条件ではなく、「ありのままのミリー」を見ている関係だったのではないでしょうか。
その三人が交差する場面で流れるのが、「愛の讃歌」の旋律です。BGMとして静かに流れ続けるその旋律は、言葉以上に「愛とは何か」を問いかけているように感じられました。
評価や成功に寄り添う愛なのか。
それとも、何も持たない状態でも変わらずに向けられるものなのか。
この映画は、夢や成功だけでなく、そうした「愛のかたち」についても、静かに考えさせてくれます。
観終えたあとに残るのは、明確な答えではありません。
けれど、自分が何を求め、何を選びたいのか——その問いだけは、確かに手元に残ります。
セリフ
給料がよく上司とも円満でどこが最悪?
