
あらすじ
7年もの間全く執筆できていない元ベストセラー作家ヒョンは、まさに崖っぷち。そんな中、失恋し情緒不安定な高校生の息子ソンギョン(ソン・ユビン)は学校も行かずに遊び惚けている。心配ごとが尽きないヒョンの前に作家を目指す男子学生ユ・ジンが現れ、突然愛の告白をする。ヒョンはそれを断固拒否するもユ・ジンの作品を読んだヒョンは彼の才能を認め、新作を書き上げるため仕方なく共同執筆を行うことに。微妙な関係の二人は無事に小説を完成させることが出来るのだろうか!?更にヒョンを衝撃の事実が襲う!果たして、この騒がしい生活に終わりは来るのだろうか・・・?(C)2021 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & BELIEF.All Rights Reserved.
感想
韓国映画ジャンルだけロマンスを観たのは、もうだいぶ前のことになります。
ジャンルだけロマンスに分類されてはいますが、
この作品は単なる恋愛の物語にとどまらず、人と人との関係の在り方を静かに問いかけてくるようでした。
とりわけ印象に残っているのが、あるセリフです。
「お前は誰かの傷じゃない
お前は私にとって慰めだった。」
誰かの過去や痛みでその人を定義するのではなく、
“今、ここにいる存在”として受け止めるということ。
そのやさしさと強さが、胸の奥に静かに残り続けています。
また、本作の中で言及される欲望の翼の存在も印象的でした。

映画の主人公の後ろ姿が映るシーンと、「拒絶された人の後ろ姿は同じである」という言葉は、ロマンスにおけるすれ違いや非対称な感情を象徴しているように感じられます。
振り返らない背中には、去っていく側の孤独と、残される側の痛みが同時に映っているのかもしれません。
さらに、若い作家志望の青年と、スランプに陥ったベストセラー作家の関係も心に残っています。
いわゆる「才能もあり、容姿にも恵まれている人物」は、個人的にはあまり好みではないのですが、
この作品ではなぜか彼を応援したくなりました。
それはきっと、彼が単なる“恵まれた存在”としてではなく、
未熟さや人との関係に揺らぎを抱えた一人の人間として描かれていたからだと思います。
過去に評価された者と、これから評価されようとする者。
その対比の中で、二人が静かに影響し合っていく様子も印象的でした。
そして、忘れがたい場面がもう一つあります。
長い時間をかけて書き上げた小説が、ようやく世に出るそのとき。
世界的に権威のある文学賞に韓国の作家が選ばれたという速報が流れ、
記者会見に集まっていた人々が、一斉にその場を離れてしまうのです。
積み重ねてきた努力とは関係なく、関心が一瞬で別の場所へ移っていく現実。
その光景には、どこか静かな残酷さがありました。
それでもなお、自分の言葉を世に出すという行為は、
他者の評価や時代の流れに左右されながらも、続けていくしかないものなのだと思わされます。

大学の食堂で、さりげなくオロナミンCが登場する場面も、なぜか心に残っています。
何気ない日常の描写が、物語を現実へと引き寄せ、
この物語がどこか遠い世界の話ではないことを感じさせてくれました。
まとめ
ジャンルだけロマンスというタイトルでありながら、
この作品の中に、いわゆるロマンスは存在するのだろうか。
あるのだとしても、あれは本当にロマンスと呼べるものなのか。
そう問いかけたくなる場面が、いくつかありました。
しかし、印象に残るのは、恋愛の甘さやときめきではなく、
相手がどのような人間であれ、その人の持つ才能や存在そのものを、
静かに、そして素直に受け入れていく姿でした。
それは、ロマンスという言葉で括るにはあまりにも静かで、
けれど確かに人と人とを結びつける、成熟した感情のかたちのようにも思えます。
愛するということは、必ずしも近づくことではなく、
理解しようとすることなのかもしれない。
そう考えたとき、この作品が描いているのは、
ロマンスの先にある、もう一つの関係の在り方なのではないかと感じました。
セリフ
日差しが痛い。風も痛い。人生ってやつが一番痛い。
関係は物書きの基本、しかも葛藤は最高の題材。
作家は筆力ではなく、忍耐から生まれる容
拒絶された人の後ろ姿は同じです。
色を混ぜたところでその色は消えない他の色に見えるだけ。
