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“生きる”より“どう生を終えるか”を描いた映画『ブラックバード』―家族が家族であるうちに―

https://blackbird.ayapro.ne.jp/about.php

ある週末、医師のポール(サム・ニール)とその妻リリー(スーザン・サランドン)が暮らす瀟洒な海辺の家に娘たちが集まってくる。

病が進行し、次第に体の自由が効かなくなっているリリーは安楽死する決意をしており、家族と最後の時間を一緒に過ごそうとしていた。

長女ジェニファー(ケイト・ウィンスレット)は母の決意を受け入れているものの、やはりどこか落ち着かず、夫マイケル(レイン・ウィルソン)の行動に苛立ちがち。家族だけで過ごすはずの週末にリリーの親友リズ(リンゼイ・ダンカン)がいることにも納得がいかない。

長らく連絡が取れなかった次女アナ(ミア・ワシコウスカ)も、くっついたり離れたりを繰り返している恋人クリス(ベックス・テイラー=クラウス)と共にやってくるが、姉と違い、母の決意を受け入れられておらず、ジェニファーと衝突を繰り返すが…

感想

――“生きる”より“どう生を終えるか”を描いた、静かな祈りのような映画

「大丈夫、自分でできる。」それが口癖のようになっていたリリー。
強い母として二人の娘を育てた彼女は、病に侵され、安楽死を選びます。

その日のために素敵な海辺の家で集まった8人の登場人物だけが織りなす、静かで濃密な週末。その空気のすべてが、深く、優しく、胸に残ります。


悲しいのに、なぜかあたたかい――そんな映画です。

 

この映画は、死をテーマにしながらも、涙を強要することもなく、ただ静かに問いかけてきます。

 

「あなたなら、大切な人の“最期の願い”をどう受け止めますか?」

印象的だったセリフ

「どうやるの?」
「知りたい?明日、みんなが帰った後、ベッドに寝かせ、薬を入れたコップを渡す。それから…眠りにつくのを傍で見守る。そして…終わりだ。」

「違法だろう?」
「合法の州もある。ワシントン、オレゴン、欧州でも。ここは私たちの家だし、彼女が建てた家でもある。ここしかない。」

「お祖母ちゃんは決めたんだ。まだ自分でできるうちにやろうと。」
「お祖父さんは捕まる?」
「心臓が止まったら散歩に行き、帰ってから警察に電話してこう話すつもりだ。
『私の外出中に妻が睡眠薬を飲んだ。確かに死んだ。私は医師だ』と。」

この静かな会話の中に、すべてが詰まっているように思われます。
彼らは“死”を語っているようで、実は“愛”を語っているのです。
どの言葉にも、悲しみではなく「見送る覚悟」と「共に過ごす温もり」が滲んでいるように感じました。

忘れられないもう一つの会話

「決めたわ。明日、母が死ぬ前に自殺すると警察に通報を。」
「……そうか。クソ。本気か?君のママは心の準備ができてる。」
「私はまだだよ。まだ心が決まらない。死ぬなんて最悪だわ。あなたも反対だと思った。」

 

「どこで手に入れたの?」
「ネットだ。」

 

「変だけど、ママはここにいるのに明日はいない。」

「それを知っている。私は今ここにいる。今を生きている。
死ぬ日を決めたら、おかしいことに死が怖くなくなった。」

この映画は、死を恐怖ではなく「最期まで人らしくあること」として描いています。

“生きる”より“どう生を終えるか”を描いたこの映画は、悲しいのに不思議とあたたかいです。
観終わったあと、胸の奥に残るのは絶望ではなく、「ありがとう」という小さな祈りのような気持ちです。

大切な人を思い出し、静かに涙がこぼれる――そんな映画でした。

セリフ

1人でできるわ。

年寄は嘘つきだし

大丈夫?と聞かれるのに疲れた。

そろそろ紙コップでワインを飲まなくちゃ。

ねぇ…あなたに感謝する。

私も。

アナ、クリス、私が死ぬ前に起きて!

なぜ黙ってたの?

強くなれと言うから。自由になれと。今のような自由なら自由になりたくない。ママは病気だから心配させたくなかった。あなたを心配することがママの幸せなのよ。ママに心配させて。

そういう状況の人、つまり安楽死を選択した人はむしろ正気で鬱状態でもなくだいてい知的で明快で分析的で非常に抑制されている。

愛は全てなの。

いいかしら。時間だよ。

大丈夫…

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